1月25日
私は人類存続主義者です。
ですので、私の目指す理想は、私たちの子どもやその子どもの子どもたちが、ずっと笑顔で暮らせる人類社会を存続させることです。
しかし、そのためには絶対にクリアしないといけない問題が存在します。
それは、地球の寿命です。
最大でも50億年、最短で数百年で地球の環境は人類の存続に適さなくなるという研究論文も存在します。可能性は低いものの、場合によってはあと100年程で、我々はこの地球から宇宙へと生存の場を移す必要に迫られるのです。
人類存続のための唯一の方法である、宇宙への進出。
これをわずか100年程度で現実に達成するためには、なによりもまず世界平和が求められます。その理由は2点あります。
まず1点目は、人類が持つ科学力・人的物的資源を世界規模で集約する必要性です。そのためには、国家間の既得権益の奪い合い等の排除は不可欠です。
そして2点目、今のまま人類が宇宙に進出しても、それは宇宙にとって人類は環境を破壊する害虫でしかありません。デブリという名の廃棄物の無差別放棄の例を挙げるまでもなく、地球との共存に成功したとはいえない人類は、同じ過ちを繰り返すでしょう。我々は生物種として精神的に一段階成長する必要があるのです。その分かりやすい成長の指標が世界平和です。
これが達成できれば、少なくとも人類は我欲を理性で抑制することのできる知的生命体であると証明することができます。この成長をもって宇宙へと進出することが、今後の生活の場となる宇宙への最低限の礼儀だと考えます。
世界平和の実現。
では、どのようにして世界平和を実現するのか、いくつかの方法論があります。
何をもって世界平和と定義するのかで、その答えも変わってくるかとは思いますが、前述の目的に照らして、国家間の戦争や紛争の根絶された社会を世界平和と定義したいと思います。
戦争・紛争は当然のことですが、武力(軍事力)による他方に対する抑圧・抵抗行為です。政治学上、戦争は外交の一手段とされていますが、ほぼすべての国家が自国の安全保障の手段として武力を保持しています。ということは論理的には、ほぼすべての国が戦争・紛争の当事者なる可能性を持っていることになります。
パワーバランスによる平和の維持が、どれほど脆く崩れ去るのかはすでに歴史が証明しています。現状維持は打算と妥協でしかありません。
このような状態では世界平和など夢のまた夢と言っていいでしょう。
ではどうすればいいのか。
一つの方法論として「軍事力に拠らない安全保障の成立」を提言します。
国家の安全保障を武力(軍事力)以外で達成することができれば、少なくとも国家間による戦争・紛争を根絶できます。
では具体的にどのような手段で安全保障を成立させるのか、地政学的見地、資源の有無、歴史・文化等々の要因を鑑みれば、日本においては「医療による安全保障」が最も妥当であると考えます。
唯一無二、そこまではいかないとしても世界最高クラスの医療を、国籍・宗教・人種の差別なく提供することで、日本には世界各国から患者やその家族が集まります。
そこに居るのは富裕層に属する人達が大半を占めることは容易に想像ができます。そしてその人達は同時に、各国で政治的決定権を持つ人、もしくはその家族や関係者、または彼らに影響力を持つ人物である可能性が非常に高いのです。
なぜなら、現実として貧困層に属する人達は政治に対する決定権を持っていないからです。
当然、貧困層の人達に対しては別途、国家レベルでの医療協力・支援を行う必要があります。そのためのインフラとして病院船やドクタープレインの製造・配置、法整備や人材育成等を推進する必要があります。
これは経済政策的には単なる出費と思われがちですが、この過程で人材雇用・設備開発などの経済効果も見込め、支援を通じて日本の国際的地位の向上にもつながる、実は費用対効果の高い政策なのです。
話を戻します。多くの国において国政に影響力を持つ人物は、本人はもちろん、一族郎党・関係者も富裕層に属していることがほとんどです。
そのような人達が数多く滞在する日本に敵対的行為を仕掛け、医療行為の遂行を侵害することは、複数の国家を敵にまわす自殺行為であり、外交としての戦争の観点からも下策となります。これが「核(軍事)抑止力」に代わる新しい概念「医療抑止力」です。
現状の日本は在日米軍と自衛隊の軍事力により安全保障が担保されています。現状を鑑みれば、軍備の増強や核武装すら現実的な選択肢として、少なくとも議論の俎上には載せるべきであると思います。安全保障は国の最大の義務であり責務です。万難を排して国を守らなければなりません。
もし米軍基地を国内から撤廃したいなら、この国は独自で安全保障を成り立たせる必要があります。なぜなら国家の基盤たる安全保障を他国に頼っているということは、その国には実質的な政治的決定権が存在しないことと同義だからです。
TPP問題がその象徴です。これはすでに「参加」がアメリカの圧力により、国内議論に関係なく決まっていた出来レースです。仕方がないのです。現状この国には「参加」「不参加」を決める政治的決定権など存在しないのですから。同様に国内から米国の基地を排除する「決定」など、現実的にそもそも行えないのです。
このような現状を打破するために、軍事力による安全保障を前提に考えれば、現在の兵力・装備を考慮すれば、十全に国を守るためには核武装も現実的な選択になるでしょう。国民の多くがその選択を望むのであれば、それもまた日本という国の目指すべき未来の一つかもしれません。
しかしながら、その選択を選んだとしても重大な問題が存在します。軍事力による安全保障を維持するためには莫大な予算が必要です。なぜなら、軍事力による安全保障が成立するためには、常に周辺諸国の脅威となるだけの武力を常時備えておく必要があるからです。隣国が武力を増強すればそれに比して必要な増強を行わなければ自国を守ることが困難になります。
国家の最優先事項は安全保障(国民の安全)です。経済的に苦しかろうがなんだろうが、必要に応じて軍事費を計上しなくてはいけません。
軍事力による抑止効果を得るためには、対外脅威に比して軍備の維持もしくは増強が必ず求められます。
今後、東アジア地域で対外脅威が治まる方向に行くことはまずありえません。であるならば、膨大な金額を軍事予算として国防費に計上する必要があります。世界的に先進国の経済が低迷している昨今、どのようにすればその予算を確保できるのでしょうか。
軍事費(安全保障費)が国庫に占める割合は各国で差異があるとはいえ、膨大な金額であり負担であることは周知の事実です。そして武力(軍事力)による安全保障を続ける限り、その額は年々増えることはあっても減ることは考えにくいこともまた純然たる事実です。
実際この問題は、日本のみならず世界中の国々で、今後30年の間に深刻かつ重要な問題として、衆目を集めることになると予測しています。現在の先進国のほとんどが経済的な問題で軍事力によって自国の安全保障を担保することが難しくなります。現実にこのような体制で既に行き詰った国家が存在するのを我々はよく知っています。先軍政治を標榜する北朝鮮です。
「軍事力に頼らない安全保障の確立」、それが30年後の世界では最も大きな政策課題となっているでしょう。
しかしながら、軍事力以外の方法で安全保障を成立させることができれば、多くの国で毎年GDPの1%~10%程度を費やしてきた軍事費を永続的に削減し、その分を社会保障など他の分野に回すことが可能になるのです。
「医療による安全保障」の具体的な中身やその方法については、拙著の論文*1『医療格差の是正-「総合医療区域」の創設-』で国内の医療格差(医師不足問題)の解決策と共に記しておりますので詳細は控えますが、まず海外から患者を受け入れる体制づくりの前に、国内の医療問題を解決する必要があります。それらを解決するキーワードが「医療特区」「家庭医」です。
そしてインフラを整え、まず先進国たる日本が、安全保障が軍事力以外で成立するのだという成功例を世界に先駆け示します。これにより多くの国が現実的な課題として「軍事力に拠らない安全保障」を認識することでしょう。
この状態を作り出すことができれば、世界平和も夢ではなくなります。そして世界平和を通過点として、人類は存続への途を歩むことが可能となるのです。
*1 研究資料(論文サマリー、論文要約)参照
文責:若狹 義臣