日仏国際シンポジウムに参加してきました

Freedom to Patients ~患者視点の医療政策を考える会~

2010年12月18日 21:24

12月18日



 上智大学で行われた、日仏国際シンポジウム「国家生命倫理委員会は必要か-生命倫理は誰のもの-」に参加してきましたので、ご報告致します。

 シンポジウムの内容は「生命倫理」の取り扱いについて、国が主導的立場を取るべきか否かという議題で、講演者やパネリストが順番に見識を述べるという、典型的な日本型シンポジウムでした。

 筆者は2000年に科学技術省(現・文科省)の「ヒトゲノム研究を考えるコンセンサス会議」にパネリストとして参加した経験があり、「生命倫理」については当時から関心を持っていました。今回はそのような経緯もあり、下記のような質問を行いました。

 「生命倫理は、研究者の行き過ぎた知的好奇心に対してブレーキ足り得るのか?」

 この質問についてパネリストをはじめ、主催の上智大学の法学教授からもそれぞれ回答がありました。細部に違いがあるとはいえ、全員に共通していたのは、「指針で禁じられているから問題はない。むしろ知的好奇心を抑制するような形で生命倫理が使われるのは好ましくない」という意見でした。

 ヒトゲノム、ヒト幹細胞・・・・・・etc。研究者に高度なモラルが求められる研究において、はたして指針で禁じられているから心配ないとのことですが、マンハッタン計画を持ち出すまでもなく研究者のモラルにすべてを委ねる危険性を当事者側が全く認識していないことにこそ、危機感を覚えました。
 
 そもそも「研究」という行為ほど、一般人との情報格差が大きい分野もないわけですから、広く情報公開を行ったうえで、第三者機関の諮問を受けるシステムづくりの議論こそが、国家生命倫理委員会よりも先に行われるべきであると思います。
                                                 (文責:若狹)


 

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