【連載・第11回】 特区と医師会の親和性
11月24日
医師会の特区に関する反応・態度は、「(特区制度を利用することで実現の可能性がある)株式会社の特区参入、混合診療の容認自体わが国の医療制度を根幹から崩壊に導く、ゆえに絶対に容認できない」として、2003年の特区制度導入時から、日本医師会が反対の意思を表明したように、一貫して「特区制度(市場原理)は医療になじまない」として否定的です。
現実的な理由としては、「株式会社の医療機関経営」と「混合診療導入」が特区制度により認められると、限定的な規制緩和のはずが、なし崩し的に全国化・公然化することになると懸念しているのです。
特区制度として株式会社の医療機関経営については、「病院等開設会社による病院等開設事業」として、特例措置の概要は以下のようになっています。
「医療法により、従来、株式会社による病院又は診療所の開設は認められていないが、本特例措置は、株式会社から高度な医療を提供する病院又は診療所の開設許可の申請があった場合、所要の要件を満たせば許可を与える(ただし、保険医療機関の指定等は行わない。)ものである。」
2009年5月現在、この特例措置を利用している特区は、「かながわバイオ医療産業特区(神奈川県)」唯一つです。特区では、株式会社バイオマスターが、高度美容外科医療を専門に提供する診療所「セルポートクリニック横浜」を横浜市内に開設し、高度美容外科医療(美容整形手術)を専門に行っています。
地元医師会は、「セルポートクリニック横浜」での施術は、安全性が十分に証明されていないとしてこれを批判しています。
このような現状の中で、今回試案として提言する政策には、「株式会社の医療機関経営」と「混合診療導入」の2点は直接関係しません。さらに、形骸化している「専門医・認定医」制度の実質化・充実化や、総合医(家庭医)を養成し病院と診療所の役割分担を明確化することで、疲弊している病院勤務医の労働環境の改善なども本論の政策が提言する「特区」において期待されます。よって医師会と協力態勢を築くことは可能であると考えます。
(文責:若狹)
関連記事