【要約・第3回】 「連載11~15回分」
1月23日
現状を踏まえて提言する政策が、5つの機能をもつ「総合医療区域(日本版メディカルシティー)」を、近隣の2~3府県が合同で提案主体となり「特区」制度を活用し、日本国内に10カ所程度創設することです。
1.専門医療分野(例:移植医療、小児科、産科等)と、その専門医養成カリキュラム
2.総合医(家庭医)養成カリキュラム
3.研究だけではなく臨床までを一括して行える中核となる医療施設
4.職住一体をコンセプトに社会・生活インフラが整備された定住都市
5.介護福祉施設、創薬・医療機器開発研究等の医療周辺産業を集約
なぜ5つの機能を必要とするのか、それは、医療資源の適切配置と財源確保のためです。1~4の機能は医療資源の適切配置のために、5はその財源確保のために設定するものです。
「総合医療区域」のイメージを説明するために、北陸地方の福井県、石川県、富山県の3県が主体となり「北陸小児医療区域」を創設したと仮定します。
この「北陸小児医療区域」は、地域医療の中核施設として、三県とその隣県のプライマリ・ケアをカバーします。「小児医療」の専門診療分野においては、臨床・研究ともに日本で最高の医療を提供することが特色です。そして小児科専門医の養成と総合医(家庭医)の養成を行い、魅力ある都市計画と医療周辺分野の集約により活性化された地域経済は、「北陸小児医療区域」を擁する北陸地方に医療だけではなく、経済の面においても恩恵をもたらすことが期待できます。
「総合医療区域」の創設により、医療格差の是正つまり、「医師不足問題」の根絶という主効果と、地域経済の活性化(人・物・金を地方へ)、及び国際協力への貢献(人材育成を通して世界の医療人材供給ハブへ)という二つの副次的効果を創出することが期待されます。
特定地域における様々な規制緩和を可能とし、必要であれば資金調達等も容易に行える「特区・地域再生」制度を利用することで、現行法の改正なく迅速に医療格差の是正を図ります。
(文責:若狹)
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