2002年6月、当時の小泉純一郎内閣は、構造改革を推進させる政策として「構造改革特別区域」(以下、特区)制度を閣議決定しました。いわゆる「骨太の方針2002」のひとつです。
特区制度の内容は、自治体や民間事業者等の自発的な立案に基づいて、特定の地域に限定して規制の緩和・撤廃を特例として認め、その地域の構造改革を進める制度です。特区制度の目的は「教育、物流、研究開発、農業、社会福祉その他の分野における経済社会の構造改革を推進するともに、地域の活性化を図り、もって国民生活の向上および国民経済の発展に寄与する」(特区法第1条)と規定しています。
全国的な規制緩和・構造改革が困難であり、難航している現状に対して、特定地域において規制の緩和・撤廃を通して、改革の実績と経験を積むことで、将来的には全国的な構造改革へとつなげていく意図があります。そして構造改革の最終目的は「日本経済の活性化」です。
「地域再生制度」(以下、地域再生)は、特区制度の開始1年後の2003年に、「個性豊かで活力に満ちた地域社会を実現し、国民経済の健全な発展及び国民生活の向上に寄与する」(地域再生法第1条)ことを目的に施行されたものです。
特区制度は、規制緩和により地域の自主性に基づく事業の立ち上げのための環境整備を行うものであり、補助金・助成金等を必要とする事業は基本的にその対象としていません。対して、地域再生制度は、財政支援や税制上のインセンティブを導入するなどして、地域の活性化を図る制度です。
「特区」と「地域再生」には共通点が多くあります。そして現在は、両制度とも地域活性化を推進するための両輪として位置づけられており、合わせて「特区・地域再生」と呼称されています。

(文責:若狹)