【連載・第8回】 特区制度の実際(神戸医療産業都市構想)

11月14日

 特区制度は2003年4月の第1回認定から、2009年3月の第19回認定まで、累計で1,077 件の特区が実現しています。2009年6月現在では、全国展開により終了したものを除いて、363 件の特区があります。
 地域再生制度は、2005年6月の第1回認定から、2009年3月の第12回認定まで、累計で1,098件の地域再生計画が認定されています。
 
 特区制度のなかで医療分野に関係するものとしては、神戸市が行っている「神戸医療産業都市構想」があります。
 神戸市では、ポートアイランドにおいて先端医療技術の研究開発拠点を整備し、産学官連携により、21世紀の成長産業である医療関連産業の集約を図る「神戸医療産業都市構想」を推進しており、「市民の健康・福祉の向上」、「神戸経済の活性化」、「国際社会への貢献」を目標として掲げています。1998年10月に構想の検討が開始され、2003年4月に特区第1号として認定を受けました。その際、認可された特例措置は以下のとおりです。

・国立大学教員等の勤務時間内研究成果活用兼業事業
・外国人研究者受入れ促進事業
・特定事業等に係る外国人の入国・在留諸申請優先処理事業
・国の試験研究施設の使用手続きの迅速化事業
・国の試験研究施設の使用の容易化事業
・国有施設の廉価使用の拡大による研究交流促進事業

【連載・第8回】 特区制度の実際(神戸医療産業都市構想)
 出所:神戸市HPより
 http://www.city.kobe.lg.jp/information/project/iryo/index.html#tizu (2010年11月11日閲覧)

 2009年4月現在、ポートライナー「先端医療センター前」駅周辺などに11の中核施設をはじめ、130を超える医療関連企業が進出し、ライフサイエンス分野のクラスター(集約拠点)として整備が進められています。
 この「神戸医療産業都市構想」は分野こそ医療特区に区分けされてはいますが、実質的には神戸市による経済活性振興策です。
 医療分野の最先端研究の集約地帯を目指し、基礎から臨床への橋渡し研究(トランスレーショナルリサーチ)を基幹として、将来的には臨床までを視野に入れた計画ではありますが、インフラストラクチャー(以下、インフラ)を整備して、地元の医療系ベンチャー企業の育成・起業支援や先端医療機器の開発研究等、医療周辺分野におけるビジネスを集約することで経済効果を得ることを、主な目的としています。
 
 神戸市の試算によると、医療産業都市構想の経済効果は、2005年度には直接・間接を合わせて409億円と推計されており、市税収入も12~13億円と推計されています(当時のポートアイランド地区への進出企業は約75社)。2009年4月現在、国内外の医療関連企業152社がポートアイランド地区に集約し、2010年度には進出企業が約200社・経済効果が822億円、15年度には同じく約310社・1,625億円まで拡大すると予測しています。

                                                (文責:若狹)



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Posted by Freedom to Patients ~患者視点の医療政策を考える会~. at 2010年11月14日10:44

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