国は、2008年5月23日、革新的技術の開発を阻害している要因を克服するため、「革新的技術特区」、いわゆる「スーパー特区」の創設と、「革新的医薬品・医療機器創出のための5か年戦略」を策定しました。
「スーパー特区」は、従来の行政区域(地方自治体)単位の特区でなく、テーマ重視の特区(複数拠点の研究者をネットワークで結んだ複合体)であることなどを特徴としています。2008年度は、その第一弾として「先端医療開発特区」を創設し、最先端の再生医療、医薬品・医療機器の開発・実用化を促進することになりました。
高度医療専門センターや大学病院などの研究施設を中核とし、他の研究期間や企業を結んだ複合体に所属する研究者のグループが、先端医療特区で実施可能となる支援方策を活用して行うプロジェクトを2008年7月から9月に掛けて公募を行い24件の課題がスーパー特区として採択されました。
「スーパー特区」は、医療に関する「特区」の活用方法が、国民の健康に直結する臨床に関するものから、研究ベースに移行していることを窺わせます。
「革新的医薬品・医療機器創出のための5か年戦略」は、「スーパー特区」制度の運用を経済面から支援する意味合いを持っています。これは、日本で開発される革新的医薬品・医療機器の、世界市場におけるシェアが拡大されることを通じて、医薬品・医療機器産業を日本の成長牽引役へ導くとともに、世界最高水準の医薬品・医療機器を国民に迅速に提供することを目標とする戦略です。
この目標に沿うよう政策の整合性を図るため、研究から市場に出し販売に至る過程を支援する一貫した政策パッケージを策定することとし、特に、日本先行の開発や、日本参加の世界同時開発とそのための国際共同治験が、革新的医薬品・医療機器の開発の原則となるよう、研究開発・審査段階における諸施策を講ずるとともに、薬価・診療報酬についても医療保険制度と調和を図りつつ革新的なものや国内外の最新の治療法が適正に評価される制度としていくことを目的としています。

「スーパー特区」との関係性としては、研究機関等における事務負担(資金の工面)が軽減されるように、関係府省が研究資金の運用改善に努めるとともに、研究資金の統合的かつ効率的な運用の方策について検討することを定めています。
(文責:若狹)