【連載・第14回】 「総合医療区域」のイメージとコンセプト 

12月5日

 「総合医療区域」のイメージを説明するために、北陸地方の福井県、石川県、富山県の3県が主体となり「北陸小児医療区域」を創設したと仮定します。
 
 この「北陸小児医療区域」は、地域医療の中核施設として、三県とその隣県のプライマリ・ケアをカバーします。「小児医療」の専門診療分野においては、臨床・研究ともに日本で最高の医療を提供することが特色です。
 そして小児科専門医の養成と総合医(家庭医)の養成を行い、魅力ある都市計画と医療周辺分野の集約により活性化された地域経済は、「北陸小児医療区域」を擁する北陸地方に医療だけではなく、経済の面においても恩恵をもたらすことが期待できます。
 
 なぜ5つの機能を必要とするのか、それは、医療資源の適切配置と財源確保のためです。1~4の機能は医療資源の適切配置のために、5はその財源確保のために設定するものです。

 まず医療資源の適切配置について、そのコンセプトは「初期医療(プライマリ・ケア)はシビルミニマム的に、高度医療は集中により質を高める」ということです。
 医療施設を受診する患者の約8割をカバーする初期医療を担う診療所・小規模な病院を、国・自治体が保障する最低限度の生活水準として一定程度の人口に比して配置します。一方、残り2割の難手術、長期療養等を要する高度医療については、診療科別・分野別に全国で1か所に集約し、研究・臨床の学術的・人的質の向上を図ります。
 このコンセプトを実現するための、1.専門診療分野とその専門医養成カリキュラム であり、2.総合医(家庭医)の養成カリキュラム です。そしてそれらを学術的分野で支えるインフラが、3.臨床だけではなく研究までも一括して行える中核となる医療施設 であり、人的に支えるインフラが、4.職住一体もしくは職住接近をコンセプトに社会・生活インフラが整備された定住都市としての機能 です。

 次に医療資源の財源確保について、そのコンセプトは「人・物・金を地方へ」です。地方自治体が国からの交付金のみで地域医療の質的向上を実現することは困難です。そうであるならば、地方が独自に財源を確保する必要があり、その手段として専門診療分野に関係する医療周辺分野の営利企業を召致し、営業として獲得した利潤を地方へ還元してもらうことで財源を賄うことが必要です。
 方法論や予想される効果は次回以降の連載のなかで〔副次的効果1.地域経済の活性化〕という項目で記載致します。
                                               (文責:若狹)
【連載・第14回】 「総合医療区域」のイメージとコンセプト 

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Posted by Freedom to Patients ~患者視点の医療政策を考える会~. at 2010年12月05日16:36

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